「君達で406人目だよ」
オレはトンパ、と男が言う。
…何か、すごく怪しいんですけど。


Queen Rose

「なにしろオレ、10歳からもう35回もテスト受けてるから」
胸を張るトンパに、ゴンを除いた3人は顔を見合わせる。
『いばれることじゃねーよな』
『確かに』
『…情けなすぎです』

コソコソと話す隣で、ゴンはトンパから受験生の説明を受けていた…

…が。

「ぎゃあぁ──っ!!」
「!!」
「、っ!?」


「アーラ不思議v腕が消えちゃった」

タネもしかけもございません、と笑うピエロに、その場の空気は凍り付いた。

腕の無くなった男の隣に立ち、ピエロは冷たい笑みで彼を見下ろす。
「人にぶつかったらあやまらなくちゃ」

「アブない奴が今年も来やがった…」

ピエロの名前はヒソカだとトンパは語る。
去年試験官を半殺しにして失格になった、と。
「…!!
そんな奴が今年も堂々とテストを受けれんのかよ」
「当然さ。ハンター試験は毎年試験官が変わる…そしてテストの内容はその試験官が自由に決めるんだ」

───その年の試験官が「合格」と言えば悪魔だって合格出来るのがハンター試験さ。

そう言ってトンパは肩をすくめた。


***


「お近づきのしるしだ。飲みなよ」
ふと思い出した様にそう言ってトンパは4人にジュースを渡し、自分も一口飲む。
渡されたそれをゴンは真っ先に受け取り、同じ様に口に含んだ…が。

「れろ」
「うわわ…だ、大丈夫ですかゴン君…」
「うん、平気!!ねェトンパさん、このジュース古くなってるよ!!味がヘン!」


…その瞬間、クラピカ、レオリオ、の3人は迷わずジュースを捨てた。

「よかったよ、オレが最初に飲んでみて。
山とかでいろんな草や芽をためし食いしてるから、大体味で変なものがわかるんだ」
「へー、そうなんですか。すごいんですね、ゴン君!!」
そうゴンを褒めながら、は小さく笑った。

(───なんだか、懐かしい)

ふふ、と零れた声が聞こえたのか、クラピカがふ、と振り返る。

「…、大丈夫か?」
「もう大丈夫です!ありがとうございました!!」

交わした笑みに、レオリオが過敏に反応し。

「ってオイ、いつの間にと手ェ繋いでんだよ、クラピカ!!」

繋がれたままの2人の手に目を留め、声を上げた。
「あ、あたしが頼んだんです」
「なにィ!?隣にオレもいたじゃねーか!なんでそこでクラピカにいくんだよ?」
「決まっているだろう、お前ではの身が危険だ」



騒ぐ3人を見つめる瞳があったことは、誰一人知らない。