「、寝てるのか?」
「彼女が30分以内に目覚める確率95%だ。少し待っていよう」
ぼんやりとした意識の中で、声が聞こえてきた。
02
「腹減ったー…ジャッカル何か買って来てくんねぇ?」
「俺が行くのかよ…仕方ねぇな」
わ、ジャッカルだって。すごいすごい。
こんなリアルな夢初めてだわ。
「ジャッカルせんぱーい、俺のどが渇きましたー」
「俺も何か飲みたいぜよ。柳生はどうじゃ?」
「そうですね。では私にも何かお願いします」
…ジャッカルはおつかい担当なのか。面白い配役。グッジョブ私の脳。
「ったく、お前ら…幸村は?」
「俺はいいよ。真田は?」
「うむ、俺もいらん」
「そうか?じゃあ行ってくるぜ」
ドアの開く音。みんなのいってらっしゃい、と言う声。
…まったく、どこまでもリアルな夢だ。
それにしても、なんていうか。いい加減目覚めろ私。
いやいや覚めなくていいや。せっかく立海陣が夢に出たんだから、早いところ目を開けて顔を拝もう。
「…というか、このままみんなでここにいたら迷惑じゃない?」
「ふむ、それもそうだな」
「…となれば、」
「…最初はグー」
「じゃんけん、」
「ぽんっ」
ええええええええ天下の立海が何してんの!?…じゃない、
天下の立海に何させてんの私の脳ー!?
やばい、超見たい超見たい超見たい!!
真田がどんな顔してじゃんけんしてるのか見たい!!
目を開けろ、開けろ、開け…
***
目を開けると、いつもの見慣れた天井が映った。
「…だよなぁ」
案の定、夢オチだった模様。
「それでね、やっぱりジャッカルはおつかい担当だったよ」
「あぁ、悪く言えばパシリってやつね」
昨日に引き続きお見舞いに来てくれたに、夢の話をする。
あまりにもリアルな夢に、彼女も興味津々だ。
「幸村くんは?」
「声はしたけど姿は見えず」
「って、誰の姿も見てないでしょうが」
「確かに」
ふふっ、と顔を見合わせて笑う。
「みなさま素敵なヴォイスでした」
「うん、が"ヴォイス"なんて言葉を使う時点でそうなんだなぁってわかるよ」
なんだかんだ話し込んでいると、の携帯が震えた。
「あれ、お母さんからだ。おつかい頼む、って…」
「あぁ、悪く言えばパシリってやつね」
ふざけて言えば、彼女も苦笑を返す。
「どこかで聞いたセリフだなぁ」
そして、「ごめん、今日は帰るね」と言って立ち上がる。
「おー、来てくれてありがとね」
「ん。明日も来れれば来るよ」
真田くんによろしく。
彼女は一番のお気に入りの名前を口にして、去っていった。
…、趣味がよくわからないよ。渋いなぁ。
さて、一人になると一気に暇だ。
(…本でも読もうかな)
ベッドの下の箱から本を出し数ページ読み進めた所で、眠気に襲われる。
暇だし、いいよね。誰かがお見舞いに来るとかって聞いてないし。
そして私は、眠気に誘われるがままに目を閉じた。
(好きな時に昼寝が出来るのは、入院してるからこそだよ、ね…)
(目隠し鬼さん、手の鳴る方へ)