彼らのいない、この世界での日常は
思った以上に、私を滅入らせたようだ。




   11




みんなが帰ってしばらく、私は動かないでただ点滴が落ちるのを見つめていた。



夢ではないと、わかってはいるのに
淡い期待を捨てられずにいるのだ。



眠りに落ちたら、またあの世界に戻れるのではないかと。
そう思って目を閉じるのに、目覚めるのは同じベッド。
病室の景色は全く同じなのに、私を取り巻く人々だけが
切り取られたように、すっかりと変わってしまった。




見舞いに来てくれる、あの優しい親友も

私を支えてくれた、親切な看護士さんも

何より、他の誰よりも私を心配してくれた家族でさえも…


ここには、存在しないらしい。




テニス部のみんなが来なくなってから来たお見舞いといえば、
ひどく無愛想な、私の叔父だという男のみ。
彼は無表情で私の調子を尋ね、ちょうど来た看護士さんに挨拶もせず帰っていった。
滞在時間、3分。



「…さんも大変ね。あの方、叔父様なんでしょう?」


看護士さんがぽつりと言ったことで、私もその男が叔父だと知ったわけだけれど。






最初の3日は、この状態を嘆いて過ごした。
次の3日は、自分の置かれた状況を把握するのに費やした。


テニス部員のお見舞いは来なかった。
私も、それでいいと思った。そう思うことで、ようやくバランスを保っていられた。



そのバランスが崩れたのは、7日目…




彼らが来なくなって、1週間が過ぎた日のことだった。





(精一杯の強がり)(崩れるのは、一瞬)