「ちゃーん」
「さーん」
「ちゃまー」
拝啓、この世界の「私」。
…あなたは一体、どんな扱いを受けていたんです…?
22
クラスに復活してから3日。
「私」ではないことがバレないように、必死で考えてきたけれど、
「ちゃまー」
「っだああ、!反応で遊ばない!」
「だって面白いんだもーん」
この、目の前でニヤニヤしている彼女のおかげで、私はクラスに馴染みつつある。
元いた世界での、私の友人。
私が体調を崩して入院してからも、よくお見舞いに来てくれた…大切な、大切な親友。
その彼女とまったく同じ顔をした…否、私が最後に会った時より
少しばかり幼い顔の少女が、この世界の「私」の友人だったらしい。
どうやら「私」がお見舞いを拒否していたようで、
初日には相当膨れながら文句を言われた。(なんというか…本当に、にそっくりだ)
まあ、そのおかげでみんなの名前をある程度知ることが出来たんだけれど。
(しっかし…あまりにもに似すぎて、テニプリの世界に来たのが嘘みたいだな)
あの子に頼んで、病院にテニプリ買ってきてもらっていたっけ。
のお気に入りだった真田、やっぱり少し変だよ。(真田、ごめん)
ブン太のケーキ、本当に美味しいよ。また作ってもらうんだー、いいでしょ。
、話したいことがいっぱいあるんだ。ねえ、
「…?」
「…あ、」
突然、現実に引き戻される。
私の顔を不思議そうに覗き込んでいる「」が視界に入った。
「もう、じーっとあたしの顔見ちゃって。惚れた?」
「うん惚れた、ああなんて可愛いの結婚して」
「感情込めて言いなさい」
目を合わせて、ニヤリと笑う。
(…今は、ここが私の現実だから)
嘆くのは、今じゃなくたっていい。
の瞳の奥に潜む心配げな色に、心の中で謝って。
私は、何気ない様子を装って彼女の机に広がるお菓子を手に取る。
「ー、このマシュマロ美味しそう」
「あげないよ!それ丸井からやっとのことで死守したんだから!」
「HAHAHA!そして私の腹に入る運命だったのさ!」
「ちゃーん、週番集まれってー!」
「あ、うん今行く!、ひとつ貰ってくねー!」
口にマシュマロひとつ放り込んで駆けていく私の後ろ姿を
が優しい笑みで見送っていたことを、私は知らない。
(心配してくれて)(支えてくれて、ありがとう)