『さあ、今年も残すところあと10分となりました…』

そんな声がテレビから聞こえてきて、わたしはふわあ、とあくびをひとつ。
すると、こたつを囲んでいたお馴染みの面子が、順々にあくびを始めた。





   Jumpin' Again!〜大晦日だよ、全員集合





誰かの家にみんなで集まって年を越す、毎年恒例の日がやってきた。

去年はジャッカル。
一昨年は真田。
その前は…いったい誰だっただろうか。


昼過ぎから少しずつ人が集まり始め、18時を過ぎる頃には
全員が揃っているという不思議な現象が起きる。
集合時間も決めていないというのに、必ず18時なのはなぜだろうか。
かくいう私も、誰かの家に集合する時は同じように
18時前にはお邪魔して落ち着いているわけなんだけれども。



某有名な歌合戦を見つつ、アイドルの歌に合わせて歌ったり
たまにチャンネルを変えて、"笑ってはいけない"なんて銘打った番組にしてみたり
チャンネルを戻すかそのままにするかで、地味なリモコン争いが起こったりして。
毎年同じように、けれど毎年違った形で過ぎていく、平和な日。
それが今日、大晦日である。


今年の集合は、私の家。
高校、大学を卒業してからもずっと住み続けているこのマンションの一室は、
最早彼らにとっても住み慣れた家と同じ。
昼過ぎにいち早く現れたブン太と柳生とともに御節作りを開始して、
みんなが集まる18時前にはようやく完成した。
…の、だけれども。



「…ねむい」
さん、頑張っていましたからね。少し寝てもいいんですよ」

張り切りすぎて既に電池が切れている私と、

「うへえ…まだ22時かよぃ…」

私以上に頑張ってくれたブン太も、目は半開き。
みんなでトランプをしたりして(もちろん、全員はこたつに入りきれないから
完全に椅子取りゲームのようになっている)眠気を堪えていた。



23時半を過ぎたあたりで、室温がどんどん下がってきて
耐え切れなくなった人たち―この時こたつに入れていなかった仁王、柳生、ジャッカル、真田―が、
無理やりにこたつへ入り込んできたことにより、人口密度は一気に増加。


「ちょ、狭い!」
「やぎゅ、足踏んどる!痛いぜよ!」
「柳せんぱい、もっとそっち詰めてくださいよ!」
「俺もこたつに入れんかー!」

なんて、一瞬にして騒々しくなる室内。
いつものことなんだけれど、なんでこう、年末なのに落ち着きないかなあ…?



どうにかこうにか全員を詰め込んだこたつは、さぞかし迷惑な思いをしたことだろう。
厭味のようにガンガン発熱し、みんなの寒さでこわばった表情を
じんわりと溶かしてくれていた。…やっぱり、こたつは偉大である。



「あったかー…」

そう呟くと同時に、ふわあ、と大きなあくびがひとつ。
するとそれは伝染するかのように、隣の赤也へ。
そしてその隣の柳へ、幸村へ、真田へ…

見事にうつっていくあくびの輪を追いかけながら、私は思わず笑ってしまった。
こんなに窮屈だと感じているのに、それでもわざわざ一所に詰まるなんて。


そんなことを考えていたら、なんだか暖かいのはこたつのおかげだけではないような気がしてきた。




ぽかぽか、優しい暖かさに包まれながら。
また、新しい一年がやってくる。




「…へへ」
「…何を笑っているんだ?」
「別に、何もー」


こんな時間を、過ごしながらも。
来年は誰の家で、どんな風に過ごそうかと、考えてしまうのでした。


















鳴り響く鐘の音が、消えないうちに
(ねえ、未来の話をしよう、)(今度はどこで、何をしようか)