この世界は退屈


     何もかもが汚いこの世界


     いっそのこと、


     こんな世界なんて



     消えてしまえばいいのに




     01:運命の歯車が回る





     「…はぁ」

     部屋の中に大きなため息が響く。


     嫌いだ、何もかも

     こんなつまらない世界なんて

     「ここから消えてしまいたい」

     そしてもう一度ため息を吐くと、あたしは目を閉じる。
     再び目を開いた時に世界が消えていることを祈るように。


     『貴方の願いを、叶えましょう』

     突然、囁くような声がした。
     同時にすっと落ちるような感覚。
     『驚かないんですね、貴方は』
     「いや、何で落ちてるの」
     『貴方に、能力を与えます』
     「無視ですかアナタ」
     『その能力で主人公を助けるもよし、黙って傍観するのもよし』
     「…は?主人公?」
     『行ってしまうと、今のこの世界には戻れません。それでも行きますか?』


     そこに、迷いはなかった。


     「行くよ」

     何処に行くのか、その前にこれが現実なのかさえ解らないけど。
     ここから逃げ出せるのなら…。
     ふと、その声が笑った気がした。