『それではお元気で

          ―――さん』

     "声"は好き勝手に話すだけ話し…消えた。




     02:表の世界と裏の世界





     それと同時に、何かの上に着地。
     え、着地ってなんだ、なんていう問いはこの際放っておく。落ちる感覚がしたのだから当たり前だ。着地しなければ困る。
     妙な理論を出した自分に呆れつつも、あまりにも勝手なその"声"の行動に("声"なのに行動と言っていいものなのだか解らないが)
     少々キレ気味に文句を言ってみる。
     「…何あの声。意味解らない」
     「…あのー…」
     「ってか、主人公って何?何の主人公?」
     「あのっ、」
     「何が能力よ。貰えるんなら貰うけ「すいませんっ!!」
     …下から声が。
     「…うわ。マットレスが喋った」
     「マ、マットレスじゃありません…って、とりあえず降りてください!!」
     マットレス…もとい、少年の上に落ちたあたしは、彼を―――俗に言う押し倒した状態―――にしていたのだった。

     「あ、ごめん」


     普通に潰しちゃって。重かったでしょ?そう言えば彼は真っ赤な顔で首を振る。
     誰だ、この純情少年?
     「えっと…あなたは?」


     名前を言うべきか、一瞬迷った。

     「…あたしの名前は。あなたは?」
     「あ、沢田綱吉です」
     …何で普通に自己紹介してんだか。
     自分でも不思議に思いながら、目の前の彼に問いかける。
     「それでさ。…ここ、ドコ?」

     「並盛ですけど」



     …即答!?
     「…ふざけてるの?」
     睨みをきかせてやれば、彼は思いっきり首を横に振り。
     「いいいいえ!!えーっと、…「十代目ー!!」
     騒々しい音と共に、不良少年(仮)が登場。
     …うわ。この歳でタバコ…
     「…それともアレか、若く見えるけど本当はおっさんっていう展開か…」
     「…十代目、誰っスかこいつ?」
     「いや、それが…


     上から降ってきた」


     「果てろ!」


     目の前を飛ぶダイナマイト。
     この変な少年がなんだろうとここがどこだろうと、あたしには最早関係ない。
     売られた喧嘩は…買うだけだ。
     「あたしも戦うのは大歓迎だよ?」

     『手を上げてください、さん』

     突然のあの声に考えもなく手を上げると、手にずしりと重い感触。
     「か…刀!?」
     「なっ…なっ…

     3倍ボ「獄寺、やめろ」
     ふいに不良少年を止める声。
     ちっ…誰だよ、止めたのは。