「ジロちゃーん!!」

モノクロの世界に色を付ける、愛しいあの子の笑顔。

その姿は、おれを…



こんなにも力づける。




   Dear Princess〜俺だけのお姫様へ〜




ちゃん、おはよ〜!!」


ぎゅ、と抱き締めれば、くすぐったそうに身をよじるちゃん。



「っ、朝からんなことしてんじゃねぇよ!」

「クソクソジロー!見せつけんな!」


おれの隣でがっくんと宍戸が口々に文句を言うけど、別に気にしないもんね!


「ジロちゃん、恥ずかしい…」

大好きな大好きなちゃんは、頬を染めながら…それでもどこか嬉しそうに…おれの腕に手を添える。

「なんで〜?おれ、朝からちゃんと会えて嬉C〜のに」

「わたしもだけどっ!!だって、亮くんと岳人がいるなんて思わなかったんだもん!」


ぷくっ、と膨れる彼女は、本当に可愛い。

だけど、お願いだからそんな可愛い顔を宍戸とかがっくんに見せないでよ。おれ、自分で言うのも何だけど嫉妬深いんだから。



「「…っ」」



ほらね、二人とも赤くなった。

でもね、あげないよ。ちゃんはおれの。


ちょっとムッとしてちゃんの体をまた引き寄せれば、彼女は恐る恐るって感じで抱きしめ返してくれた。

…太陽みたいな、暖かくて優しい匂いがする。

ぽかぽかしてて、幸せになるんだ。




ちゃん、」

「なぁに、ジロちゃん」

「今日、一緒にサボろ?」



首を傾けて、お願い。

ちゃんはいつも、「仕方ないなぁ」って笑うんだ。



「…仕方ないなぁ、今日は特別だよ?」



ほら、ね?











***











ちゃんの手を引っ張って、お気に入りの芝生へ。

誰にも邪魔されない、おれたちだけの場所。


「こっち、こっち!」

「もー、待ってよジロちゃん!」

ごろん、と寝っ転がると、柔らかい芝生の匂いがした。

いつもは幸せになる、この匂い。

だけど今日だけは別。だって、ちゃんがいるもん。

ぎゅー、って抱き締めたら、ちゃんは腕の中で真っ赤になった。


「…あったかいね、」

「そうでしょー!おれの一番お気に入りの場所だC!」


だから、ちゃんにも教えたかったんだ!


そう言ったら、ちゃんは「そうじゃなくて!」なんて答える。…Aー、違うの?



「ジロちゃんが、あったかいの」

「おれー?」

「そう、」





「あったかくて、幸せになる」





呟いた顔はほんとに幸せそうだったから。

おれも頷いて、ちゃんを抱き締めなおした。



やっべぇ…眠くなってきたC…



「…誕生日おめでとう、ジロちゃん」

そうちゃんが言ったのを最後に、おれはあっさり意識を手放した。











***











「おいジロー、起きやがれ」



…目を覚ましたら、ちゃんじゃなくて跡部が見えた。

「…なんであとべーなのー…」
「あぁ?お前の彼女ならそこにいるじゃねぇか」

言われて隣を見ると、幸せそうなちゃんの寝顔。

「…ったく、仕方ねぇな…オイ、樺地」

跡部の後ろに樺地が見えて、おれは慌てて起き上がろうとする、けど。




「誕生日プレゼントだ」


今日だけは、見逃してやるよ





ニヤリ、跡部が笑うから。



「…最高のプレゼントだC〜!」

ありがたく、受け取っちゃえ!





(君が隣にいる)(この幸せな瞬間が、ずっとずっと続きますように!)





Dear Princess!!
(大切なキミへ!)