時計の針が、真夜中を指した。

「私、そろそろ寝るね」

そう言うと、彼は何も言わず私のベッドに入って来る。

「…ここで寝るの?」

笑顔で頷かれた。

「仕方ないなぁ…今日だけだよ?


…蓮二」





   04:柳蓮二と私





ぱちり、
スイッチを消して、私は手探りでベッドへ向かおうとする。


「…全然見えない」


呟くと、少し先の暗闇から声がして。

、少し動くな」
「え?」


言われた通りに壁際から動かないで立ち止まる、けれど。


「蓮二?」

返事がない。
目が慣れないままで部屋を見渡しても、彼がどこにいるのか全くわからない。



「れん、じ」


闇の中に、一人きりのような錯覚。
無性にその暗さが怖くなって、壁のスイッチに手を伸ばす、が



「ここだ」


その手は、いつの間にか隣にいた蓮二に触れた。


「放っておいたら、お前はテーブルか何かにぶつかるだろう?」
ふ、と蓮二が笑う気配。
そのまま手を引かれて、ベッドにようやく辿り着く。



「今、ね」
「ん?」
「蓮二の返事がなくて、なんだかすごく不安になった、の」


「一人ぼっちになったみたいな、そんな気がした」




ぽつり 零したら、繋いだ手をそのまま引き寄せられた。




「俺もだ。見つけられないかと、一瞬思った」
同じ部屋の中なのにな。そう言って蓮二はまた笑う。



「…見つけられて、良かった」

ぎゅ、と抱き締められて、私もようやく小さく笑った。

「…見つけてくれて、ありがとう」











(迷子になったって大丈夫、)(キミが、見つけてくれるから)