時計の針が、真夜中を指した。

「私、そろそろ寝るね」

そう言うと、彼は何も言わず私のベッドに入って来る。

「…ここで寝るの?」

笑顔で頷かれた。

「仕方ないなぁ…今日だけだよ?


…精市」





   01:幸村精市と私





パチリ、電気を消すと
「最近疲れてるんじゃない?」
隣で同じように横になった精市が口を開く。

「んー…仕事まだ慣れないし、ちょっときついかな」
「無理しないんだよ」
「大丈夫だよ、こんなことでへこたれてられないしね」

平気平気、と言えば、頭を撫でられた。

は頑張り屋さんだね、偉い偉い」
「ちょ…っ、それ褒めてるの?」
「もちろんだよ。そこがの良いところだって思ってるし、ね」


暗闇に目が慣れて、精市が私を見ているのがわかる。

(…恥ずかしい…!!)



「わ、たしは」
「ん?」


「私は、精市が褒めてくれるから、頑張れるんだよ」

枕に顔を埋めながら言うと、精市が笑う気配がした。

「可愛いなぁ、は」
「…うるさいっ」


が頑張れるなら、俺はもっともっと乃亜のことを褒めるよ」
「…!!」



ちゅ、と頬に優しい感覚。
おやすみ、という声に、幸せを感じて


私は、眠りの中へと吸い込まれていった。










(一番の幸せを、君と)